Doll::Pretty

ガタン、ゴトン･･････
心地よい揺れと５月の陽気も手伝って、すっかり眠りについてしまっていたようだ。

「次は○○、○○〜」

ローカル線特有のスピーカーから流れる音で、はっと目を覚ます。

降りる駅だ。ここを乗り過ごすと、電車は１時間に１本しかないので、面倒なことになってしまう。

思考をフル回転させ降りる準備をと思い、ふと右隣を向いてみた。








･･････。

おかしい。頭をフル回転させたはずだ。寝ぼけていない。

もう一度、右隣を向いてみる。






「やあ！お目覚めかい？」


･･････しゃべった！？

「おいおい、ボクがしゃべるのがそんなに不思議かい？
ただ、しゃべることはできても、１人で動くことはできないんだ。
ちょいと手伝っておくれ」

うん、ここはきっと夢の中だ。そうに違いない。
どうせ夢なら、いっそのこと楽しんでみるのも１つの手だ。

とりあえず、その白いふわふわもこもこした物体を手に、電車を降りた。

「さて、今日の目的、もちろんキミは覚えているよね？」

目的･･････。そうだ、今日は写真を撮りに来たはずだ。
自分の首には黒く光るちょっと無骨なカメラがぶら下がっている。

「さあ、格好良く、そして凛々しく撮りたまえ！！」

（びしっ！）






「おおっと、ボクはちょっとバランスが取りにくいんだ。
もうちょっとデリケートに扱ってくれたまえ」



「そうそう、いい調子だ。
それにしてもいい天気だな。
ちょっとその芝生の上に横になって、休憩がてら昼寝してみるのもいいと思うぞ」


確かにそよ風が気持ちよく、午後の陽射しをたっぷりに浴びながら昼寝をすると気持ちよさそうだ。

言われるがままに横になりまぶたを閉じる。


---- ブラックアウト。


「次は○○、○○〜」

･･････よかった、さっきのはやはり夢だったか。
あんなぬいぐるみがしゃべるわけがない。

ほっと胸をなで下ろす。


ふと思い立ち、右隣を向いてみると･･････















（ぼふっ！）



Repeat again ...